三菱自動車は23日、益子修社長が社長職を返上し最高経営責任者(CEO)に専任する人事を発表した。社長は空席とし、来年6月の株主総会で定款から廃止する方向。益子氏は同日、CEO専任について「古い風土を変え、新しい風を取り入れるため」と説明したが、役割は変わらない。
益子氏は、昨年4月に発覚した燃費不正が行われた当時のトップ。当初は再建の道筋が付いた段階で辞任する考えを示していたが、昨年10月に三菱自を傘下に収めた日産自動車のカルロス・ゴーン氏が慰留し、続投した経緯がある。
三菱自が23日、東京都内で開いた定時株主総会では益子氏の続投に批判が相次いだが、益子氏は「持続成長に向け最大限の努力をし、社員の先頭に立って信頼回復を目指すことが責任だ」と述べ、トップを続けることに理解を求めた。三菱自の会長も務めるゴーン氏は、益子氏について「数字で結果を出せると信じている」と述べ、引き続き経営を任せる考えを示した。
総会では、益子氏ら取締役11人を再任する議案を審議。投資家への議決権行使を助言する米大手2社が益子氏の再任に反対を推奨していたが、日産や三菱グループで過半数を握っており原案通り可決された。
三菱自の取締役の選任をめぐっては、昨年12月に開いた臨時株主総会で、三菱UFJ信託銀行が益子氏ら5人の取締役選任について反対していた。
一方、株主総会に先立ち会見した益子氏は、欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で経営が悪化し26日に民事再生法の適用を申請する方針を固めたタカタについて「自動車各社ともかなりの部品を買っている。部品の安定供給を受け生産に支障がないようにしたい」と述べ、取引を継続する意向を示した。