旅行者向けに各種サービスを手掛けるエアサーブ(東京都目黒区)は、同じ内容を最大8言語で複数の人に同時に案内できる「携帯型多言語同時ガイドシステム」の売り込みに力を入れている。各種イベントを手掛ける美術館、リゾート地の観光商業施設などから関心が寄せられており、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までに300カ所への導入を目指す。
同システムは、世界各国から訪れた外国人観光客に対し、1人の案内人が送信機を持ち、旅行者は受信機を首からぶら下げてイヤホンを装着し、聞きたい言語をボタン操作で選ぶ。
目的の観光スポットに着くと、GPS(衛星利用測位システム)と連動した送信機がそれぞれの言語でガイド音声を配信する仕組みだ。
ガイド音声は事前に収録する必要がある。中国、韓国のほかフランス、ドイツ、タイ、インドネシア、トルコ、スウェーデンなど17カ国語に対応する。
同社では全国各地の史跡名跡のほか、観光バス、工場見学、大型商業施設、アミューズメントパークなどへの導入を想定している。
外国人観光客に対する有料ガイドは、国家資格である通訳案内士のみに認められているが、5割以上は首都圏に集中している上、使用言語は英語に偏っているのが現状だ。このため政府は一部で規制緩和をしているが、通訳案内士不足は解消されていない。
エアサーブ市場開発部の中元直志部長は「通訳案内士不足解消の決め手になる」と普及に期待を寄せている。