ゴルフを楽しんできた団塊世代の高齢化やレジャースポーツの多様化などでゴルフ人口が減少している。ゴルフ離れに歯止めがかからず、閉鎖に追い込まれるゴルフ場も少なくない。足が遠のいたプレーヤーを呼び戻そうと低価格路線を打ち出すゴルフ場が増える中、栃木県を中心に4つのゴルフ場を運営する鹿沼グループ(栃木県鹿沼市)は企画力で集客に挑む。知恵を絞るのは現場のマネジャーやスタッフで、地域振興にも一役買っている。
6月17日の夕暮れ時、美しい庭園デザインが人気の栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部(栃木市)にゴルファーらしからぬ服装の人たちが三々五々集まってきた。「夕方でゴルフ場を閉めるのはもったいない」と鹿沼グループの福島範治社長の一声で始まったイベント「ニュージーランドワインフェス」を楽しむためだ。
参加者はグリーンに隣接した芝生の上で、ニュージーランドからやってきた生産者による説明を聞きながらワインと料理を楽しんだ。
ネーミングから当日のスケジュール、運営方法などは栃木ヶ丘のスタッフが考えた。支配人の鈴木義之氏は「準備段階では不安と責任の重圧を感じ、当日もバタバタ状態だったが、全員で協力して乗り越えることができた」と振り返る。
「楽しかった」「またやってよ」といった声も届き、鈴木氏は「ゴルフ場はゴルフだけでなく、ワインフェスのようなイベントでもお客さまを笑顔にできることを学んだ」と喜ぶ。「アフターゴルフ(ゴルフプレー以外)の楽しみ方を提案したかった」という福島氏も新たな収益源になり得ることを確信し、「夕方以降のイベントを開き、ゴルフ場に入ったことがない人たちを呼びたい」と意気込む。