人工知能(AI)ベンチャーのプリファードネットワークス(PFN、東京都千代田区)は、トヨタ自動車から約105億円の追加出資を受けることで合意した。資金調達を機にPFNは優秀な技術者の採用などを進め、自動運転に欠かせないAI技術の研究や開発を加速させる。
PFNが第三者割当増資により発行する株式をトヨタが引き受ける。トヨタはPFNの外部筆頭株主となる。
PFNとトヨタは2014年10月から、物体認識技術や車両情報の解析技術などの共同研究を開始。15年12月には関係強化を目的にトヨタがPFNに10億円を出資した。
PFNが持つディープラーニング(深層学習)やビッグデータ処理といった知能化関連技術は、世界でもトップクラスの水準にあるとされる。
トヨタは、自動運転技術の開発にはPFNの技術が不可欠と判断し、追加出資を決めた。
PFNの技術は広く産業界にも普及し、工場全体を一元管理するファナックのIoT(モノのインターネット)基盤「フィールド・システム」にもPFNの技術が採用されている。すでに産業用ロボットや機械の故障予知などの検証を進め、9月中の実用化を目指している。
また、国立がん研究センターや産業技術総合研究所(産総研)と手を組み、AIを活用したがん医療システムの開発に取り組む。同センターが持つ患者の血液検査や遺伝子検査、画像などのデータを、産総研人工知能研究センターとPFNがAIで解析し、新たな診断技術の開発を進めている。