インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」を利用できる店舗が増えている。ビットコインは8月初めに分裂し、混乱して利用者が離れる懸念もあったが、市場では8月上旬に1ビットコイン当たり36万9899円と最高値を記録。大きな混乱もなく騒ぎは収束し、ビットコインの優位が鮮明になりつつある。(中村智隆)
取引所大手ビットフライヤーは7日、丸井グループの商業施設「新宿マルイ アネックス」(東京都新宿区)でビットコインの決済サービスを試験導入した。利用者は、専用アプリを入れたスマートフォンを店側のタブレット端末にかざして決済する。1回に決済できるのは10万円相当まで。サービスは10月31日までで、継続については状況をみて判断する。
日本では、世界で流通するビットコインの集客効果などを見込み、利用できる店舗が次々と登場。ビックカメラは対応店舗を順次増やし、現在は直営38店舗で利用可能だ。ピーチ・アビエーションは年内に航空券を買えるようにする。
ビットコインをめぐっては、利用増でシステムの処理能力が限界に近づいたことから、システム改善をめぐり開発者や事業者らが対立。8月初めに中国の一部事業者が新たな通貨「ビットコインキャッシュ(BCC)」を立ち上げ、混乱が懸念された。
国内取引所は一部でサービスを停止したが、BCC誕生後も大きな混乱はなく、順次再開。決済を中止したメガネスーパーも近く再開する予定だ。
ビットフライヤーの加納裕三社長は7日、「ビットコインの分裂危機は過ぎ去った。顧客資産を脅かすものではないし、決済にも影響はない」と強調した。
市場ではビットコインへの支持が集まり、ビットフライヤーによると、最高値を付けた後も36万円前後の高値で動いている。とはいえ、急落して利用も減ると懸念する意見も根強い。
一方、BCCは3万円程度で推移。ネット上の取引記録業者も想定ほど集まっていないとみられ、普及するかは見通せない。