2017年3月期の有価証券報告書(有報)に限定付きのお墨付きを得て当局に提出し、上場維持に向けた課題の一つを切り抜けた東芝。ただ、監査法人から内部統制に不備があると指摘されたことは、日本取引所グループ(JPX)傘下の日本取引所自主規制法人が進める内部管理体制の審査に暗い影を落とす恐れがあり、上場廃止リスクを抱えた綱渡りは今後も続く。
東芝株は15年に発覚した不正会計問題を受け、内部管理体制に問題があるとして東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定され、今年3月には上場廃止の恐れがあることを知らせる「監理銘柄」にも指定された。東証から上場管理などを委託されている自主規制法人が東芝の内部管理体制の改善状況を審査した上で、上場維持か上場廃止かを実質的に判断する。
今回、監査法人は東芝の米原発事業の巨額損失の会計処理に関して「内部統制の不備が認められる」と指摘した。内部統制監査の不適正意見は東証の上場廃止基準に抵触はしないが、自主規制法人は東芝と監査法人の双方の主張を確認し、不適正意見が付いた原因や背景を調べることになる。
監査法人の主張に分があるとみれば、内部管理体制の審査に悪影響が生じそうで、この点での上場廃止リスクは残ったままだ。