「中国に技術とられたらえらいこと」 日本電産・永守氏が大学経営に乗り出すワケ (3/4ページ)

京都学園大などを運営する学校法人京都学園の理事長に就任する日本電産の永守重信会長兼社長(右端)。基本合意書の調印後、報道陣の質問に答えた=3月30日、京都市右京区の京都学園大京都太秦キャンパス
京都学園大などを運営する学校法人京都学園の理事長に就任する日本電産の永守重信会長兼社長(右端)。基本合意書の調印後、報道陣の質問に答えた=3月30日、京都市右京区の京都学園大京都太秦キャンパス【拡大】

  • 京都学園大などを運営する学校法人京都学園の理事長に就任する日本電産の永守重信会長兼社長。基本合意書調印後の記者会見で、100億円以上の個人資金を投入する意向を表明した=3月30日、京都市

 期待を一身に背負う永守氏。毎年発表される世界の大学ランキングで100位以内の日本の大学は東京大と京都大の2校のみという現状を念頭に、「日本の大学はぜんぜんあかん。われわれ企業など世の中がほしい人材を卒業させていないからや。英語もできない」と手厳しい。

 今後の大学経営は企業経営と同じとし、「やっぱり世の中のニーズがある人材を育てるのが一番」と指摘。今後の京都学園大の卒業生は「英語を話せるのは当然」で、具体的なところでは、経済系学部では起業を目指す学生を育て、3年後の開設を目指す工学部(仮称)ではモーターやロボット、人工知能(AI)に詳しい人材を育てる方針だ。

 「京大を抜く」

 人材育成に力を入れるのは、日本電産の将来を見据えてのことでもる。

 電気自動車(EV)やロボット、ドローンなど機械で電装化が進む中、動力源となるモーターは「鉄や半導体のように産業のコメになる」と永守氏。しかし、今後の世の中の需要を考えると、同社は「最大の問題は技術者不足。モーター技術者が足りない」というのだ。

 大卒の新入社員を大量採用しても「モーターが分かる技術者はほとんどいない」のが現状という。

 永守氏は工学系大学をつくり、モーターに詳しい技術者を育てる夢を膨らませていた。そうした中、京都学園側から「経営をお願いしたい」と打診があり、理事長就任を快諾。私財の投入も決めた。

「来年からは先生になる。理事長兼教授やな」