◆膝を突き合わせて
結の場は震災翌年の2012年11月に始まり、これまでに18回開催。ワークショップ形式のマッチングイベントに、被災企業約150社、大手は延べ約470社が参加した。取引先を見つけるだけの商談会とは違い、被災企業と大手の担当者が膝を突き合わせて話し合うのが特徴だ。
会場では、被災地の現状や課題をめぐって双方が活発に意見交換。こうして生まれた支援方法は、商品開発や販路拡大だけでなく、安全管理体制へのアドバイスや人材育成セミナーの開催など多岐にわたる。大手企業側にとっても、震災復興に貢献する社会的責任を果たすほか、町づくりが進む被災地で新たな商機につながるメリットがある。
◆息の長い取り組み
16年7月時点の東北経済産業局のアンケートによると、青森、岩手、宮城、福島4県で被災し、国の支援を受けた6146事業者のうち、売り上げが震災前の水準以上に回復したのは45.2%にとどまる。産業再生は道半ばで、息の長い支援の取り組みが必要だ。
オフィス家具大手のイトーキ(大阪市)は、木材製造販売のマルヒ製材(岩手県久慈市)と共同で、岩手県産のアカマツを使ったベンチを開発した。20年東京五輪・パラリンピックに向け、空港や駅など公共施設での需要を見込んだ商品で「将来的に販売先を広げていきたい」(イトーキ)と中長期的な戦略を描く。
復興庁は、今年10~11月に岩手、宮城、福島3県で結の場を計4回開催する予定。担当者は「来年以降も続けたい。大手側の参加企業の顔触れが固定しつつあるので、さらに多くの企業に関心を持ってほしい」と呼び掛けている。