化学大手が自動車向けの樹脂材料を相次ぎ増産している。旭化成は23日、汎用(はんよう)樹脂のポリアミド(PA)やポリプロピレン(PP)に添加剤などを混ぜ、機能を持たせた樹脂コンパウンドの新工場を中国に建設すると発表。東レも同日、ハンガリーで、高機能のポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂コンパウンドを生産すると発表した。燃費規制の強化で自動車の軽量化ニーズが高まり、金属から樹脂への素材の置き換えが進むなか、今後も堅調な需要が見込めると判断した。
旭化成は、江蘇省常熟市に生産子会社「旭化成塑料」を設立し、ドアハンドルなど幅広い自動車部品の材料として2020年初頭に生産を始める。生産能力は年2万8000トンで、投資額は30億円以上になる見通し。中国で自動車販売が拡大し、軽量化で1台当たりの使用量も増えているのに対応、同省蘇州市の工場と合わせ2拠点体制を築く。
一方、東レは14年に買収した炭素繊維メーカー、米ゾルテックのハンガリー工場内に、PPSコンパウンドの生産設備を導入、18年3月に稼働させる。生産能力は年3000トンで、投資額は5億~10億円とみられる。