電力と都市ガスの首都圏決戦が激しさを増している。昨年4月の電力小売りの全面自由化を受けて家庭用電力販売に参入した東京ガスは契約が年内に100万件を突破する勢い。これに対し、電気の1年遅れで今年4月に始まったガス小売りの自由化で、防戦一方だった東京電力ホールディングス(HD)が7月に家庭用ガス販売に参入。電力とのセット販売で料金を東ガスに迫る水準に引き下げ巻き返しを図っている。これまで電気とガスですみ分けされていた市場が自由化時代で垣根が取り払われ、双方の顧客基盤を切り崩す陣取り合戦に突入している。
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「販売電力量の減少は自由化を踏まえ、新電力の競争が要因として入っている」
7月28日、都内で開かれた東電HDの2017年4~6月期連結決算の発表会見で、森下義人常務執行役はこう述べ、唇をかんだ。販売電力量が前年同期の3.6%に相当する20億キロワット時も減少。多くが新規参入の「新電力」に奪われた。
なかでも脅威は同じ首都圏に地盤を持ち、「新電力ナンバーワン」を掲げる東ガスだ。昨年4月の参入から、今年7月25月時点までで家庭用で86万9000件の契約を獲得した。そのうちの多くが東電HDからの乗り換えとみられる。