その一歩が日本人建築家の人生を変えた 世界から注目を集める「石巻工房」 (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 今から4年ほど前、建築家・芦沢啓治さんのインタビュー記事を書いたことがある。タイトルは「実践は何事にも勝る 一歩外に踏み出す勇気」だった。

 その数年前までは外国人に心理的コンプレックスも抱き、外の世界にやや及び腰のところがあった。デザイナーとしての実力を知りたいだけでなく、どうしても控えめになる自分を変えていきたいとの想いもあり、2008年、初めて家具の国際見本市・ミラノサローネのサテリテ(若手デザイナーの発表の場)に出展した。

 その後、外国クライアントの建築設計や家具のデザインを多く請け負うようになる。2014年にはスウェーデンのイケアからも彼の作品は売り出された。その一方、2011年の東日本大震災後、家具をつくって石巻のコミュニティを社会的・経済的に支えていく仕組みとして「石巻工房」を始めたが、その活動は国内外に広く知られることになった。各国の雑誌でも活動が紹介されている。今年から海外での生産もスタートした。

 また昨年はロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館、来月は米・ミシガン大学で1000人を超える聴衆に向けて石巻工房についてスピーチする。「普通にアーキテクトやっていたら招待されませんよね」と芦沢さんは笑う。

またもや意外な人が芦沢さんに注目していることが分かった