◆成長に導いた3つの強み
彩グループが事業拡大を成功させた背景には「3つの強みがある」という。1つ目は「ビジョンの共有」である。「経営者は常に夢とビジョンを掲げ、すべての社員と同じ目標に向かって共有していくことが大切。気持ちが集約されて、やる気が一体化することで目標達成を推進する起動力が高まる」と田部社長は語る。同グループでは、ビジョンを共有するために、全社員を集めた全体会議を毎月1回行い、次年度にサロンを何店舗展開するかといった会社の全体方針や、各店舗の好事例の共有などを行い、全社員の意識統一を図っている。「店舗数が拡大することで、店長に就任できるチャンスが増えるので、特に店舗展開のビジョンは社員のモチベーションにもつながる」と、トップが道筋を示すことで、社員の意欲を高めてきた。
2つ目の強みは「独自の経営ノウハウ」だ。例えば、集客に関しては、広告に頼ることなく、新規顧客にサロンでフェイシャルトリートメントの体験を提供。それをきっかけにホームケア化粧品を提案するシステムを確立してきた。社員教育面においては、ヌーヴェルエステティックアカデミーを開校(6校)し、技術・知識・接客等の教育体制を確立している。
そして、3つ目は「企業風土の醸成」である。経営の羅針盤となる経営理念をしっかりと確立した上で、それを社内に浸透させ、自社の社風を創出することが盤石な組織を形成するためには必要だと言う。
これらのベースとなっているのが独自の哲学「彩グループ フィロソフィー」だ。働く意義や人生の目的など、生き方や考え方を説いている。「こうした指導や教育を基本方針としているので、愛社精神の強い社員が多い」と田部社長。当然結束力や目標達成意欲なども高まり、強い組織体質の維持につながっている。「企業の戦略や戦術は、この強固な土台があってこそ成り立つ」というのが同グループの考えだ。