【Bizクリニック】トップは最大の広報マン (2/2ページ)

広報ブレーンの管野吉信代表取締役
広報ブレーンの管野吉信代表取締役【拡大】

 トップの広報マインドは組織論からみても重要だ。広報セクションを設けても、トップが社内に号令を発しないとニュースネタが集まらない。社長取材依頼を拒否し続ければ、やがてメディアは離れていく。社長取材を受けたとして、微妙な発言が記事になり、広報セクションに責任をなすり付けたとしたら、広報マンはやる気を失う。

 非上場の中堅・中小企業はオーナー型社長が多いので、その傾向はさらに強くなる。優秀な社員を広報担当に据えても、指示待ちの社風だったら機能しない。また、社長の指示が広告・宣伝型広報だったとしたら、ニュースバリューが不足し、記事掲載に至らない。結果は、広報活動自体が尻すぼみに終わってしまう。

 経営トップには「情報戦」の総帥と認識してもらうといいだろう。戦に当たり、総帥はあらゆる情報を収集し、それをもとに決断し、先頭に立って戦う。社会と顧客が何を求めているかを探り、経営に反映させる。その結果を、自らが責任を持ってメディアに伝える。広報力はおのずと強化されていく。

【プロフィル】管野吉信

 かんの・よしのぶ 駒大法卒。1981年日刊工業新聞社入社。中小企業部長、金融市況部長、第1産業部長、経産省の中小企業政策審議会臨時委員。2007年ジャパン・デジタル・コンテンツ信託に入社し広報室長。執行役員として粉飾決算などの不祥事の後処理を担当。12年7月広報ブレーンを設立し、現職。58歳。福島県出身。