「旧姓口座」開設に柔軟対応 銀行業界、社会的機運高まり姿勢変化

 政府が女性活躍を後押しするために、結婚前の旧姓名義を使った預貯金口座を開設できるよう柔軟な対応を銀行業界に要請している。不正利用防止の観点から、旧姓名義口座に対して積極的でない銀行も多かったが、夫婦別姓が議論されるなど旧姓使用に対しての社会的な機運が高まっており、業界は姿勢を変えつつある。

 政府は7月、全国銀行協会に対して可能な限り円滑に旧姓口座が開設できるよう求めた。預貯金口座だけでなく、マイナンバーカードやパスポートに旧姓を併記できるようにする計画だ。

 静岡銀行は顧客の要望があれば対応するよう、8月に行内へ通知した。別の地方銀行の関係者も「公的な証明書類に旧姓が併記されれば、より対応しやすくなる」として、パスポートなどへの旧姓併記が実現すれば対応を検討すると明かす。

 一方、三菱東京UFJ銀行などの大手行の場合、新旧どちらの姓も分かる戸籍謄本などの公的な証明書を用意し、決められた書類を提出することで旧姓を使用できるケースもあるが、積極的には周知していない。ゆうちょ銀行は旧姓の使用を認めていないが、今後検討していく方針だ。

 各行が旧姓使用に前向きでなかったのは、マネーロンダリング(資金洗浄)のような不正取引を防ぐために、本人確認の徹底が必要だからだ。ある大手行は「現状でも旧姓の使用は可能」として、一段の対応には否定的だが、旧姓確認のできる公的証明書が増えれば、活用できる可能性はあるとしている。