VW排ガス不正2年 堀場製は泰然 (1/4ページ)

 「セールスプロモーションに使ってはいけない」。2015年9月に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼルエンジンの排ガス不正を検知した測定器を製造した堀場製作所の堀場厚社長は、自社の名がニュースで世界を駆け巡る異例の状況で部下に厳命した。

 基盤強固な「割烹屋」

 一連の報道で注目が集まった排ガス測定装置が「飛ぶように売れる」状況で創業家の2代目である堀場社長がこうした判断を下したのは、かつて1000年の都として栄えた京都の企業特有の気風もあり、一時的な現象に惑わされず顧客との「長いおつきあい」を大切にしたい気持ちがあったためという。

 騒動の渦中で意図的に宣伝を控えたため今もVWとの良好な関係を維持できたことにつながったと堀場社長は振り返る。内燃機関の車への疑問を呼び起こした「ディーゼルゲート」から2年、余波は皮肉なことに堀場製自身にも及んでいる。電気自動車(EV)へのシフトが進めば自動車用排ガス測定器で世界シェア8割を持ち、連結売上高の4割近くを占める同社に打撃となる。

 堀場社長は8月の都内でのインタビューで、堀場製は自動車のほか「半導体」「医用」など計5セグメントでバランスを取る経営を心掛けているとし、世の中の重要な事業領域はほぼカバーできており各領域のコア技術をもとにそれぞれの業界の動向に合わせて技術開発や商品をシフトさせることで、経営環境の変化に対応していくと述べた。

「割烹屋」の事業基盤を支える“いいお客”