【山本隆三の快刀乱麻】かつては日本が世界一だった… EV拡大で“バッテリー勝者”になった中国 (3/4ページ)

テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)
テスラがパナソニックと共同で運営する米ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」(テスラ提供・共同)【拡大】

 テスラの16年のEV販売台数は8万4000台だったが、大量受注が行われている同社の新型EV「モデル3」用の本格生産が開始される来年の販売予定台数は50万台だ。当然、バッテリー製造量も増加する。パナソニックと共同で米ネバダ州に建設していた最大3500万キロワット時の能力を持つギガファクトリーは今年初めに製造を始めたが、来年にはフル稼働する予定だ。テスラに電池を供給しているパナソニックは、表1の通り、メーカーとしては世界一のEV用電池のシェアを持っている。世界のEV販売台数は今後、大きく増加することから、テスラ・パナソニックにも追い風になりそうだ。ただ、世界のEV用リチウムイオン電池の製造能力2800万キロワット時のうち、6割弱(1640万キロワット時)のシェアを持つ中国がEV用電池の増産に乗り出している。

 シェア6割超

 昨年の世界のEV販売台数は表2の通り、中国がトップだ。市場にあるEVの台数でも、中国(65万台)が昨年、米国(53万台)を抜いて世界一になった。中国、欧州、米国を中心に今後もEV販売台数の大きな増加が予想されることから、ダイムラーベンツは7月初旬、中国でEVと電池の生産に踏み切ると発表した。電池製造工場への投資額は7億4000万ドル(820億円)とされる。7月中旬には、米アップルも中国最大のバッテリーメーカーCATLと組み、中国でEV用電池の開発に乗り出したと報じられた。アップルもCATLもコメントを出していないが、アップルが「タイタン」のプロジェクト名で開発を進めている自動運転車はEVになるのではないかと報道されている。

 CATLは昨年、電池製造能力を3倍に引き上げたが、20年までには現能力をさらに6倍の5000万キロワット時にすると発表している。中国のEV用電池メーカー大手、BYDも既設工場の増強を予定しており、パナソニック、韓国のLG化学、サムスンなども中国での工場新設を予定していることから、20年までに中国のEV用リチウムイオン電池製造能力は1億750万キロワット時に達すると報道されている。

かつて1位だった日本は登場しない