「すべての元凶は自分たち営業マン」 リニューアルで「黒ラベル」が売れた理由 (3/4ページ)

 ビヤガーデンで爆発、熱い思いが飛び火する

 田邊さんは社内の意識改革を通して、得意先の「黒ラベルは売れない」という意識を変えていく活動を展開する一方で、本社に2つのことを依頼した。一つが「大人エレベーター」のテレビCMに関西人を登場させること、もう一つが「パーフェクトビヤガーデン」を大阪でも開設してほしいという要望だ。

 それまでは大がかりなイベントを実施するといったら東京と北海道だった。大阪のど真ん中でビヤガーデンを開くことが決まると、「自分たちの意見が通った」と営業はがぜん盛り上がった。

 黒ラベルを売ろうという熱い思いは得意先にも飛び火していった。得意先を絞りながら、テスト展開してみると、やはり黒ラベルはヱビスよりも売れた。やがて以前は黒ラベルを置いてくれなかった店舗でも、黒ラベルの扱いが増えていった。その結果、近畿圏で350ミリリットル缶を取り扱う店は2年間で20%も増えた。

 社員の本気と取引先の本気が重なり、ビール売り場で黒ラベルが動き出した。それと同時に、ビヤガーデンで「パーフェクト黒ラベル」のおいしさを体験した客が、店頭でも黒ラベルに手を伸ばすようになる。

 「ビヤガーデンでは若手のメンバーが中心になり、夕方5時の暑い中でお客様をお待ちし、お土産を渡す作戦を自主的に行っていました。そういうところからも、お客様に親しみを持ってもらっているのでしょう」

 いろいろな策がつながりながら効果を出し、黒ラベルは15年のリニューアル以降、近畿圏での売り上げは直近の2017年7月まで28カ月連続で前年超えした。30%以上伸びた月も珍しくない。年齢層では20代、30代からの支持が高く、とりわけ20代男性では2年前の約1.6倍の伸びだ。

 近畿エリアの営業担当者たちは、40年間のロングセラーを再び活気づかせるという偉業を成し遂げようとしている。

黒ラベルの缶も好調