中国向け牛肉輸出、市場争奪戦 通商環境追い風 丸紅、豪肥育牧場の供給力増強 (1/2ページ)

丸紅が買収した米高級牛肉加工会社の工場=カンザス州
丸紅が買収した米高級牛肉加工会社の工場=カンザス州【拡大】

 大手商社や食肉加工メーカーが中国向けを中心に相次いで牛肉輸出の強化に乗り出している。所得水準の向上によるアジアの牛肉消費量の拡大や、中国による米産牛肉の輸入解禁といった通商環境の追い風が背景だ。丸紅は新たに豪州の牧場子会社で牛肉の供給力を引き上げるほか、日本ハムは南米ウルグアイの食肉処理加工会社を買収するなど輸出増に向けた投資が活発だ。

 中国では牛肉消費の急拡大に自国生産が追いつかず、2016年の輸入量は約57万トンと4年前の10倍以上となっている。

 15年に発効した中国と豪州の自由貿易協定(FTA)に伴う豪州からの輸出拡大や、中国政府が6月に14年ぶりに米国産牛肉の輸入解禁に踏み切ったことで、牛肉の国際取引は一段の増加が見込まれる。

 丸紅はこれをにらみ、子会社の豪牛肉牧場レンジャーズバレーの肥育頭数を年産5万頭から来年中に6万頭に引き上げることを決めた。また、7月に約200億円で買収した米高級牛肉生産・加工大手クリークストーンファームズ(カンザス州)が中国向けの輸出許可を取得。高品質ブラックアンガス牛の処理頭数を20年に16年比20%増の30万頭に増やす。

 クリークストーンのトップに近く就任する予定の野村和伸氏は「豪州子会社の肥育ノウハウや海外販路をフル活用し、(中国以外の)アジア、中東にも打って出る」と事業拡大に意欲を示す。

日本向け輸入牛肉の安定調達先を確保する狙いも