大東建託、高齢の土地所有者取り込み 完成後の建物をARで確認

建設予定地でゴーグル型AR端末を装着し、建物の完成イメージをタブレットでも確認する様子=東京都江東区
建設予定地でゴーグル型AR端末を装着し、建物の完成イメージをタブレットでも確認する様子=東京都江東区【拡大】

 目の前に広がる現実の画像に仮想の情報を重ねて表示する拡張現実(AR)端末を建設・不動産業界に導入する動きが広がりつつある中、賃貸住宅最大手の大東建託は27日、ARを営業に活用することを明らかにした。賃貸アパートや同マンションの経営を提案する際、高齢化が進む土地所有者でも完成後の建物の外観デザインや間取りをイメージしやすくし、競争が激化する賃貸住宅市場で差別化を図りたい考えだ。

 同社が活用するのは、日本マイクロソフトのゴーグル型AR端末「ホロレンズ」。今夏から首都圏を中心に実証試験を開始。来年1月からの本格導入を決めた。図面や模型からタブレット型端末へと広がる営業ツールをさらに増強する方針だ。

 活用法の一つが建設予定地で土地所有者に売り込む場面。AR端末を装着した土地所有者の目の前には、実際の風景の中に実物大の建物の完成した様子が臨場感たっぷりに広がる。

 土地所有者は、建物が周辺の自然や街並みの中にどう溶け込んでいるかを現地で確認できるほか、現地にいけない場合でも遠隔地の事務所や自宅で縮小した完成予定建物を見れる。

 ARで攻勢をかける背景には2015年の相続税増税がある。金融機関から借り入れをしてでもマンションなどを建てる方が相続税を抑えられるとして、土地を持っている人が節税狙いの不動産投資に注目。国土交通省によると賃貸住宅着工戸数は増加を続けており、16年度は前年度比で約1割増の約43万戸に達した。

 賃貸住宅市場が熱くなる中で、野村不動産がARをマンション販売に活用するなど建設・不動産業界で導入機運が高まっている。大東建託は「高齢のオーナーでも関心と興味を引けるようにし差別化を図りたい」(設計部)としている。