リーダー不在の寄り合い所帯 日米韓連合、「東芝メモリ」会見で不手際 会場には怒号も (1/4ページ)

会見中止を謝罪するベインキャピタルの杉本勇次日本代表=28日、東京都千代田区のパレスホテル
会見中止を謝罪するベインキャピタルの杉本勇次日本代表=28日、東京都千代田区のパレスホテル【拡大】

 東芝が、米投資ファンドのベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」と、半導体子会社「東芝メモリ」の売却契約を28日に締結した。しかし、早くも日米韓連合の足並みの乱れを不安視する声が上がる。三重県四日市市の工場を共同運営し、国際仲裁裁判所に売却差し止めを求める米ウエスタン・デジタル(WD)との関係改善を含め、課題は多い。

 「会見を開くのに必要な関係者の同意が得られなかった。私どものコミュニケーション不足。深くおわび申し上げる」

 東芝と日米韓連合が契約を交わした28日の夕方、ベインキャピタルが都内のホテルで予定していた記者会見は予定の時間になっても始まらなかった。10分後にようやく登場したベインの杉本勇次日本代表は恐縮した表情で会見中止を伝え、何度も謝罪した。

 「本当に契約は成立したのか」「呼びつけておいてばかにしているのか」

 会場は記者の怒号で騒然となった。杉本氏は「契約にはまったく影響しない」と買収が白紙に戻る可能性を否定したが“寄り合い所帯”の難しさを予感させる一幕だった。

 「『船頭多くして船、山に上る』にならなければいいが…」。関係者はそう語る。東芝、韓国半導体大手のSKハイニックス、米アップル、米デル…。連合にはそうそうたる顔ぶれが並ぶ。政府系の産業革新機構と日本政策投資銀行も資本参加を視野に入れる。

「調整も難しく、世界で戦えないのでは」