プリンターのエプソンが「高級腕時計」を発売した理由 兄貴分のセイコーと「同門対決」 (2/3ページ)

エプソン「TRUMETR-MB8001」
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 男性人気が高い「ソーラー発電式」

 高級腕時計は国産大手3社とスイス勢が激しく争う市場だが、碓井稔社長は「エプソンにしか作れない、エプソンならではの腕時計がある」と実績ゼロというハンデを感じさせない自信をみせる。

 独自ブランド「トゥルーム」が目指すのは、アナログウオッチによる最先端技術を極めるブランド。ウリは得意とするセンサー技術と長年培ってきた腕時計技術の融合だ。GPSや気圧、高度、方位など豊富な機能を搭載しているが、数値は液晶ではなくアナログ針で表示する。電池交換不要のソーラー発電式の高機能腕時計は、男性からの人気が高い。

 しかし、高級腕時計市場は各社がひしめく激戦地だ。セイコーウオッチは今年3月、最高級のフラッグシップ(旗艦)ブランドに位置付ける「グランドセイコー」の大幅刷新を図った。「セイコーと異なる別の高みを目指す」(服部真二会長)という狙いから、文字盤から「SEIKO」のロゴを外した。「グランドセイコー」を独立したブランドとして育て、スイス勢に真っ向勝負を挑む。

 シチズン時計は買収によるマルチブランド戦略を加速させている。08年に米ブローバ、12年にスイスのプロサーホールディング、さらに昨年5月にスイスのフレデリック・コンスタントホールディングを買収。中価格帯が強みの「CITIZEN」ブランドに加え、高価格帯ブランドをそろえることで、幅広い層の取り込みを狙う。販売面では、最大市場の米国でブランドごとの販売会社を統合。日本では今年4月に東京・銀座の松坂屋銀座店跡地にオープンした複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」に、主要ブランドをそろえた初のフラッグシップストアを開設した。

 訪日中国人の「爆買い」には、もうひと頃の勢いはない。日本時計協会の推計によると、2016年の腕時計(完成品)の市場規模は7867億円で、前年比でマイナス13%となった。ただ、足元の市場は回復基調を取り戻している。2017年4~6月期連結決算で、シチズンの最終利益は前年同期比15%増の26億円。セイコーHDは前年同期12億円の赤字だったが11億円の黒字に転換した。カシオ計算機は時計事業が減収となったものの、腕時計の主力ブランド「Gショック」の新商品投入を夏以降に本格化し、2018年3月期通期での復調を見通す。

大手が寡占する市場を「崩せる」