東芝の原発損失、虚偽記載か 数千億円、証券監視委が調査へ (2/2ページ)


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  • 東芝は半導体子会社の売却先をめぐり、最後まで判断が揺れた=東京都港区(宮川浩和撮影)

 東芝はPwCあらたから監査意見をもらえないため、6月の有価証券報告書提出期限を8月に延期。最終的にPwCあらたは28年3月期に計上しなかったのは誤りだと指摘した上で、決算全体への影響は限定的として「限定付き適正意見」を出し、東芝は有報を提出した。

 関係者によると、監視委はPwCあらた同様、損失認識の時期が28年3月期中で、同期の利益が過大に計上された疑いがあるとみている。数千億円規模の損失額についても決算全体への影響は小さくなく、投資判断に重大な影響を与えたとの見方を強めており、決算の不正を調査する開示検査を実施する方向で検討しているという。

 東芝をめぐっては、パソコン事業での不正会計が悪質な粉飾に当たるとして、監視委が歴代3社長の金商法違反罪での刑事告発に向け調査を続けている。

 【用語解説】

 東芝の不正会計問題 損失の先送りなどにより、東芝が平成21~26年に計2248億円の利益を水増しした問題。27年4月に発覚し、多くの事業で「チャレンジ」と称した過大な収益目標の達成を求める経営トップの圧力が背景にあったとされ、同年7月に田中久雄元社長ら歴代3社長が引責辞任。経営再建中の28年12月には米原発事業をめぐり数千億円規模の損失が出る可能性を発表した。