【eco最前線を聞く】100%植物由来の生分解性プラスチック (1/3ページ)


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  • バイオワークスによる「完全」植物由来プラスチックを使った試作品=東京都渋谷区

 □バイオワークス・今井行弘社長

 サトウキビやトウモロコシなどが材料として使用される植物由来のプラスチック。生分解性プラスチックと呼ばれることもあるが、実はほとんどが石油由来成分との混合品だ。こうした中、環境ベンチャーのバイオワークス(東京都渋谷区)は独自技術により、100%植物由来のプラスチック「ポリ乳酸」を生成することに成功した。今井行弘社長にその特長や今後の展望などを聞いた。

 ◆独自添加剤で脆弱性解決

 --ポリ乳酸とは

 「植物を原料とするプラスチックの中で、エチレンなどからではなく乳酸から合成されたプラスチックのことを指す。実は20年以上前から存在しており、専門化学商社の長瀬産業でプラスチックを担当していたときからバイオ系プラスチックは将来性があると感じていた。ただ、その当時は成型や量産が難しいなどの課題を抱えていた。各素材メーカーもポリ乳酸の開発に挑んだが、結局どこも成功に至らなかった。他のプラスチック原料よりも耐熱性や耐衝撃性が低く、物性レベルでの脆弱(ぜいじゃく)性が製品化への大きな壁となっていたのだ」

 --それが起業のきっかけにつながる

 「神戸大と京大、大阪大の教授による分子レベルの素材の結合、合成方法に関する研究成果を活用し、2004年10月に阪大を拠点とする研究開発型ベンチャー企業として、前身となる『バイオベース』を設立した。08年度の近畿経済産業局の委託事業が採択されたのを受け、ポリ乳酸に混ぜる独自の添加剤を開発した」