【知恵の経営】“お尻を洗う”文化を創造 (1/2ページ)

 □アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

 独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は衛生陶器を製造し、国内シェアトップの大企業に成長したTOTOの池クジラぶりを見ていきたい。

 1912年、日本陶器合名会社(現ノリタケカンパニーリミテド)の大倉和親社長は海外の生活文化に触発され、下水道の概念さえ浸透していなかった時代に「健康で文化的な生活を提供したい」という思いを胸に製陶研究所を設立。2年後、国産初の「陶器製腰掛式水洗便器」を完成。「快適で衛生的な生活文化を普及させたい」と17年、東洋陶器(現TOTO)を設立した。利益という影を追わず「需要家の満足」「良品の供給」という実体に徹する考えは創立当時からだ。

 腰掛式水洗便器に付けることが当たり前になった温水洗浄便座。2代目の百木三郎社長は、「良き品物を作る前に良き人を作るのが理想」と言ったが、TOTOの「ウォシュレット」開発では人財力に基づく製品開発に力を入れてオンリーワン技術を磨き、消費者の使いやすさを徹底的に研究。「お尻は拭くものではなく、洗うもの」という新しいトイレ習慣を創造した。今や一般世帯の温水洗浄便座普及率は81.2%、国内シェアはトップクラスだ。

 当初、使いやすさを研究するため、データが全くない中で試行錯誤を繰り返した。例えば、お湯をお尻のどこに当てればいいか社内で協力を求め、社員に針金を張った便座に座ったときに肛門がきた位置に印をつけてもらい、男女あわせ延べ300人以上分のデータを集めた。さらにお尻に当てるお湯の温度も実験室でお湯の温度を0.1度ずつ上げてお尻に当てながら確かめた。今は、見えない便器の汚れを分解・除菌する「きれい除菌水」の搭載など進化し続けている。

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