【高論卓説】豪雨と温暖化 放置人工林活用で森林再生急げ (2/2ページ)

 シベリアの冬将軍により大量に降った雪は、春になるとゆっくりと解けていく。この形を維持したい。だが、地球温暖化の進行により、降雪、積雪ともに減少し、融雪も早くなっていくと、夏場の渇水は常態化していく可能性は否めない。

 降雨が増え降雪が減れば、水源地の涵養力は低下し、田んぼの水張りにも影響を与える。群馬のダムにしても、そもそもが一定の降雪を前提に設計されている。また、雪解け水の一部は地下に浸透し地下水となるが、涵養機能を支える一つは整備された森林でもある。

 温暖化防止の枠組みであるパリ協定では、森林を活用した温室効果ガスの排出削減にも言及している。温室効果ガス排出量について日本は、2030年度までに13年度比で26%の削減を目標としていて、このうち2.0%分を森林による二酸化炭素(CO2)吸収で賄っていく計画だ。

 間伐材は循環型資源でもある。スギやヒノキを「硬く」「柔らか」な圧縮木材にすれば、住宅の床材や家具材に転用できるから。木材加工と金属加工とのオープンイノベーションなどで、木の潜在力をもっと探っていきたい。間伐を促進できれば、放置人工林を減らせて温暖化防止にも役に立つ。

 夏場、ある地域を豪雨が襲い、別の地域は渇水に陥る事態を、繰り返させてはならない。森林の再生を、まずは急ぐべきだ。

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【プロフィル】永井隆

 ながい・たかし ジャーナリスト。明大卒。東京タイムズ記者を経て1992年からフリー。著書は「アサヒビール 30年目の逆襲」「サントリー対キリン」など多数。59歳。群馬県出身。

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