ベンチャーが埋める巨大企業の死角 トヨタなど出資、無視できない存在に (3/3ページ)

PKSHATechnologyの画像認識エンジン「VerticalVision」(同社提供)
PKSHATechnologyの画像認識エンジン「VerticalVision」(同社提供)【拡大】

 アルゴリズムの時代

 一方、PFNはAIの重要な要素技術である深層学習の事業展開を目的に西川徹社長らが14年3月に創業した。同年10月からトヨタとモビリティー事業分野におけるAI技術の共同研究・開発を実施している。トヨタは、追加出資に際してのプレスリリースで「PFNが持つ世界トップレベルの知能化関連技術はトヨタにとって必要不可欠」だとしている。PKSHA、PFNともにトヨタとの研究の詳細については明らかにしていない。

 トヨタは人工知能技術の研究・開発を強化するため、米国に16年に新会社のトヨタ・リサーチ・インスティテュートを設立。5年間で約10億ドル(約1130億円)を投じて安全性向上などに取り組む。ギル・プラット所長は7月のサンフランシスコでの会議で、AI技術の研究はトヨタが「独力でなし得ることではない」との見方を示し、どれだけ人を採用しても「われわれは多くのイノベーションを逃している」と話していた。

 上野山社長は米シリコンバレーでコンサルタントとして働いた経験から旧来型の製造業にもソフトウエア業界のノウハウに対するニーズがあると気づき、そこにビジネスチャンスを見いだしたという。

 PKSHAでは30人の社員の8割以上がエンジニアで専属の営業担当者は一人もいないため、顧客から訪問を受けているという。採用も75%強が社員自身の紹介だ。技術領域の専門性が高いため、求人広告を出しても望む人材が取れない一方で学会など技術者コミュニティーの「キーマンが何人かわれわれのなかにいれば、逆に人が人を呼ぶ好循環がうまれる」との思いがあると上野山社長は話す。

 35歳で自らも東大大学院で工学博士号を取得した上野山社長は、すべてのソフトウエアは最終的にAIに置き換わり、車もその例外ではないとみている。1990年代後半のITバブル以降、多数のベンチャーを輩出したインターネットの時代は過ぎ去り、「今はアルゴリズムの時代だ」と話した。(ブルームバーグ Nao Sano、Kevin Buckland)