IC乗車券で交通費自動精算 コンカー、JR東などとシステム開発へ

 出張・経費精算業務支援ソフトを手がける米コンカー・テクノロジーズの日本法人、コンカー(東京都千代田区)は、JR東日本と東京のタクシー大手3社と共同で、IC乗車券を使った短距離交通費の経費精算自動化システムの開発に乗り出す。IC乗車券に記録される乗車履歴を活用し、交通費精算にかかる煩雑な手間をなくすことで、企業の働き方改革を後押しする。

 具体的には、JR東のIC乗車券「Suica(スイカ)」の利用データを逐次、クラウド上にあるコンカーの経費精算処理ソフトに転送。パソコンなどの画面上に乗車した日時や区間、運賃が表示される。

 Suicaで乗車できる私鉄や地下鉄、バスなどの利用も反映できる。タクシーについては、都内を営業区域とする日本交通(東京都千代田区)、国際自動車(同港区)、大和自動車交通の3社に対応する。今年10月から2019年12月までの実証試験で使い勝手などを検証し、20年の本格サービス開始を目指す。

 従来の近距離交通費精算は、券売機などで利用履歴を印字したレシートを紙に貼り付け、手帳などに書かれた予定と乗り換え検索ソフトなどを手がかりに運賃を割り出すことが多かった。手間がかかる上、記憶違いなどからミスも多かった。

 またSuicaなどのIC乗車券は技術的な理由から直近20~100件しか利用履歴を記憶できないことも精算業務の自動化の課題となっていた。今回はSuicaの利用履歴を逐次、転送することで、「件数の壁」を乗り越えた。

 コンカーの三村真宗社長は「首都圏以外にも全国の鉄道会社やタクシー会社に拡大し、日本から煩雑な交通費精算をなくしたい」とJR東以外のICカード乗車券を発行している会社にも、採用を促していくことを明らかにした。