【高論卓説】地熱発電、にわかに脚光 副産物「温水」が地域振興に一役 (2/2ページ)

 電源開発(Jパワー)の鬼首地熱発電所(出力1万5000キロワット)は、1975年運転開始の日本で4番目に古い地熱発電所。62年に調査を始めた後の68年に一帯が栗駒国定公園に指定された。そのため、環境保護に心を砕き、「源泉の温度や流量、成分などを継続して調べ、毎年の説明会で地域の方々に安心していただいています」という。今年度、古い設備を止め、環境アセス手続き後に設備更新して効率アップを図る。

 94年に運転を始めた東北電力の上の岱地熱発電所(出力2万8800キロワット)は、東北自然エネルギーが蒸気を生産し、その蒸気を東北電が買って発電している。20年以上も平均8割を超す設備利用率で発電する「優等生」。山小屋風の施設が印象的だ。

 Jパワー、三菱マテリアル、三菱ガス化学の出資による湯沢地熱が建設中の山葵沢地熱発電所は、出力4万2000キロワット。93年に事前調査に着手して23年がたっており、湯沢市は上の岱以来の「地熱」熱に沸いている。

 「地熱で未来を切り拓く」とうたう湯沢市は、市を挙げて地熱発電を応援する。発電以外にも乳製品や乾燥野菜の製造、水耕栽培、温水プールなどに地熱を利用するほか、地熱ツアーや出前授業など、「地熱のまち」の宣伝にも力を入れている。

 懸念されているような温泉への悪影響は、これまでどこにもない。むしろ地元は工夫を凝らして温水を産業や観光の振興に役立てている。自然環境や地域と共存しながら、さまざまな価値を利用する地熱発電開発の余地が日本にはまだまだありそうだ。

【プロフィル】東嶋和子

 とうじま・わこ 科学ジャーナリスト。筑波大・青山学院大非常勤講師。筑波大卒。米国カンザス大留学。読売新聞記者を経て独立。著書に「人体再生に挑む」(講談社)、「水も過ぎれば毒になる 新・養生訓」(文藝春秋)など。