【経済ななめ読み】名門復活の鍵は原点回帰

 「現金掛け値なし」「店前(たなさき)売り」。江戸時代の呉服商、越後屋は武家相手の掛け売りという販売手法から、店頭に商品を並べて町人に現金で売るという画期的な手法に改め、豪商の地位を築いた。その越後屋を源流の一つとする百貨店の名門、三越伊勢丹ホールディングス(HD)が電子商取引(EC)という新潮流に脅かされているのは皮肉だ。

 衣料品をめぐる消費者の購買行動は近年、大きく変化している。若者を中心にリアル(実在)店舗でなくネットで洋服を買う動きが広がっている。こうした中で、台頭してきたのが衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイだ。同社の時価総額は8月に、1兆円を突破し、三越伊勢丹HDの2倍以上に達した。

 衣料品に強みのある三越伊勢丹HDには看過できない事態だろう。同社は業績不振で、「ミスター百貨店」と呼ばれた大西洋氏が3月末に社長を退任し、後任の杉江俊彦社長が構造改革に取り組んでいる。だが、改革は前社長の路線否定の色彩が濃く、新機軸を打ち出せていない。名門復活には越後屋の進取の精神に立ち戻る必要がある。(誠)

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