【ビジネスのつぼ】不発「スト3」を反面教師に… 格闘ゲーム人気の再爆発へ、「スト5」刷新の狙い (2/3ページ)

カプコンの小野義徳執行役員
カプコンの小野義徳執行役員【拡大】

  • ストリートファイター5の開発を担当したカプコンの綾野智章氏(左)と松本修平氏=大阪市中央区
  • 家庭用ゲーム機とパソコンを“戦場”としたストリートファイター5

 さらに重視されたのが、eスポーツを意識したゲーム性にすることだった。

 前作の時点で、世界中で大会が開かれ、ゲームの周辺機器メーカーなどがスポンサーになったプロゲーマーも現れるなど、上級者が競い合って観戦者も盛り上がるというeスポーツの舞台となってはいた。

 ただ、それでも前作では、ゲームをやりこんだ人にしか、「うまさ」や「すごさ」が伝わらないところがあったという。カプコンの小野義徳執行役員は「ゲームを見ているカップルの女の子でもすごさが分かるような、『カープ女子』みたいなファンを作り出すことを目指した」と話す。20年前にリリースされたスト3が、見た目には面白さや奥の深さが分かりづらく、シリーズの中ではヒットしなかったことが反面教師になったようだ。

 スト5は、1年でキャラクターを6人ずつ増やすなど、今後もバージョンアップを続ける方針だが、eスポーツとしてずっとプレーされ続けるためには、プレーヤー側の魅せるプレーも必要といえそうだ。小野氏は「相手に勝つことだけを意識して地味なプレーをしていたプロゲーマーも、ゲームに詳しくない観戦者でも分かりやすいように、派手な技で勝つことを意識してくれるようになった」と語る。

 格闘ゲーム人気再燃へ

 スト5の“戦場”は、リリース当初はカプコン側の意図した通り、スト4の時代に活躍していた強豪プレーヤーが鳴りを潜め、スト5から始めた10代のプレーヤーが台頭し、世界中の大会で活躍した。ただ、現在はシリーズを通して戦ってきたベテランも、若いプレーヤーの反応速度に老獪(ろうかい)な読み合いの強さで対抗するなど、歴史のある格闘ゲームらしく群雄割拠の状態が続いている。

 カプコンは、スト5の世界中の強豪ゲーマーが1年を通してポイントを競い合うプロツアーを開催。世界中の観戦者が、レベルの高い対戦の様子を動画サイトなどで視聴して楽しんでいる。スト2時代からシリーズの制作に携わってきた小野氏は「スト5のプロツアーなどで、eスポーツのプラットフォーム(基盤)が確立すれば、ほかの格闘ゲームもプラットフォームに乗せたい」と語る。シリーズの最新作が待たれている人気格闘ゲームも構想にあるようだ。

 90年代前半の格闘ゲームの黄金時代をゲームセンターで過ごしてきた一人として、スト5の盛り上がりが今後の格闘ゲーム人気の再爆発につながることを期待したい。(大坪玲央)

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