神戸製鋼所がアルミと銅製品の性能データを改竄していた問題で、新たに鉄粉製品のデータでも改竄が行われていたことが11日、分かった。これとは別に、半導体材料の製造、分析を手がける子会社の検査データでは偽装が行われていたことも判明。川崎博也会長兼社長が12日午前に経済産業省を訪問し、改竄問題の経緯を報告する。
データ改竄が行われていた鉄粉製品は、アルミと銅で不正が発覚した4工場とは別の高砂製作所(兵庫県高砂市)で生産し、取引先1社に納入。関係者によると、取引先との間で決めた密度に関する仕様より実際の製品の性能が上回ったため、つじつまを合わせるためにデータを改竄して契約通りに見せかけていた可能性があるという。
鉄粉は、焼き固めることなどで複雑な形状の部品を製造することができ、自動車や機械のギアなどの素材として使われている。神戸製鋼は、問題の鉄粉を使った製品については明らかにしていない。
検査データを偽装していたのは、神戸製鋼の子会社で半導体材料の製造や検査を手がけるコベルコ科研(神戸市中央区)。材料を製造した際、実際には強度や成分を分析していないにもかかわらず、行ったかのように装い「検査成績書」を添えるなどしていたという。偽装は取引先70社に納入した材料で行われていたが、出荷量や使用製品は把握できていないという。