農業融資 競争穏やか「残された有望分野」

 地方銀行が農業融資を積極化する背景には、日銀の金融緩和による金利低下で、利ざやで稼ぐことが難しくなっている経営事情がある。農業は融資先として「残された有望分野」(地銀幹部)で、金利競争も激しくない。農家にとっても金融機関のプロ目線が入ることで飛躍につながる可能性がある。

 東京証券取引所などに上場する地銀82社の2017年3月期決算は、全体の約8割で最終利益が前期比で減るか赤字だった。金利低下を、融資残高の拡大で補い切れなかったため。各地銀は貸出先探しに頭を抱えているのが現状だ。

 その中で、家族経営の農家が多かった事情もあり、手薄だった農業融資の拡大余地は大きい。農家人口の減少に伴い、急速に大規模化や企業参入が続く追い風があるものの、地銀を含む国内銀行全体の融資残高に占める農業・林業への貸出金の割合は、いまだ0.1%程度にとどまっている。

 農林中金総合研究所の長谷川晃生主任研究員の調べでは、16年時点で残高上位10行が全地銀の残高の過半を占め、銀行間で農業融資のスタンスに温度差がある。畜産が盛んな九州・沖縄の地銀(第二地銀を除く)の農林業融資残高(16年3月末)は1450億円。関東・甲信や東北も多い半面、中国や四国は九州・沖縄の約10分の1にとどまり、地域差も大きい。長谷川氏は「6次産業化の支援などを通じて新たな事業展開を後押しし、地域経済への波及効果を高めることが重要だ」と強調した。