【論風】進む農作物輸入の自由化 輸出振興へ実のある仕組みを (1/3ページ)

 □ナチュラルアートCEO・鈴木誠

 1993年のウルグアイラウンド(関税貿易一般協定の多角的貿易交渉)合意以降、2015年の日豪経済連携協定(EPA)発効、今年7月の日欧EPA大枠合意、そして来週、第2回会合が行われる日米経済対話と、農作物輸入自由化に向けた動きが続き、日本の農業業界は安価な輸入品との競争でますます厳しくなるばかりだ。

 その打開策として、日本政府は、農作物の輸出強化をと喧伝(けんでん)している。

 輸出事例が増えているのは事実だ。以前から青森産リンゴは輸出の代表的農作物として出荷が拡大。それぞれコメは香港などへ、イチゴは香港をはじめアジア地区へ、高知県産ユズはフランスへ、北海道産ナガイモは北米へと輸出は確かに拡大している。だが、数字的、経済的インパクトでみると、現状はまだまだと言わざるを得ない。

 年間輸出額では、リンゴは100億円超だが、コメは30億円未満、その他はそれよりもはるかに小さい。かろうじて近年善戦しているのは年間100億円超レベルまできた牛肉輸出くらいだ。イチゴ、モモ、スイカなどアジアや中東でとんでもない高値で売れているとよく報道されるが、それは一過性の、わずかばかりのイベントのお話だ。実際には、日本酒やウイスキーなど酒類やしょうゆなどの加工品が統計上は農作物のカテゴリーに計上され農作物輸出額で大きなウエートを占めている。

19年の1兆円達成は不可能