東芝半導体買収、WD幻の勝利宣言 「法で威嚇」過信の果て暗転 (2/5ページ)

ウエスタン・デジタルの工場のロゴ=マレーシア・ペナン州(ブルームバーグ)
ウエスタン・デジタルの工場のロゴ=マレーシア・ペナン州(ブルームバーグ)【拡大】

 ミリガン氏のWDトップまでの道のりは険しかった。最高財務責任者(CFO)を務めた会社を辞め日立製作所傘下で問題を抱えるハードディスク駆動装置(HDD)メーカーの経営を主導。2011年に再建を果たし50億ドル近くで元事業主のWDに売却した。WDはHDD業界最大手となり、ミリガン氏はCEOに上り詰めた。

 ミリガン氏はさらに野心的に動いた。WDの市場価値とほぼ同等の160億ドル(約1兆7900億円)を費やし、東芝と長年の合弁関係にありフラッシュメモリーを製造するサンディスクを昨年買収した。しかし、それは「対等の合弁」ではなかった。三重県四日市市にある工場の敷地や建物、従業員、知的財産のほぼ全てを東芝が所有していた。

 130億ドルの低額提示

 「東芝から見ればWDはある意味、弟分のようなものだった。技術もオペレーションも全部東芝が面倒をみていた」と日本のメモリー業界の重鎮であるエルピーダメモリ元社長の坂本幸雄氏は語った。「その会社のトップが『お前の会社を買う』と言ったらどう思いますか。それは感情的になるでしょう」

 サンディスクの買収直後で別の大規模な取引をする資金はなかったが、WDにとって東芝の「宝石をあしらった王冠」は魅力的だった。東芝はメモリーの生産で首位に立つ韓国サムスン電子の背中を追いかけていた。

ミリガン氏が事業を安く買うため東芝との問題を利用