人手不足で生産設備自動化 製造業、国内拠点を再評価

ホンダ熊本製作所の二輪車ライン=熊本県大津町
ホンダ熊本製作所の二輪車ライン=熊本県大津町【拡大】

 製造業を中心に国内生産の体制を強化したり、海外生産を国内に戻したりする動きが相次いでいる。円安やアジアでの人件費上昇を背景に、ホンダが二輪車「スーパーカブ」の一部生産を熊本県の工場に移管するなど生産拠点として国内が再評価されている。人手の確保が課題だが、生産設備の自動化などで対応する企業もある。

 家電メーカーのアイリスオーヤマ(仙台市)は、発光ダイオード(LED)照明の供給量を増やすため、佐賀県鳥栖市で工場を増設し、茨城県阿見町に新工場を建設中だ。2工場では生産を自動化する予定。「需要増が見込まれる国内の生産割合を引き上げれば為替変動の影響を低減でき、受注から納品までの期間も短縮できる」(広報)。

 経済産業省による2016年の調査では、海外で製品を生産する企業の11.8%が国内に生産を戻した。理由(複数回答)は「為替レート」が約3割と最多で、「人件費」と「品質管理上の問題」がともに約2割で続いた。円安を背景に高品質な製品をつくる拠点として国内が見直されていることがうかがえる。

 国内生産比率を高めていく方針のキヤノンは9月、宮崎県高鍋町にデジタルカメラを製造する新工場を建設すると発表した。自動化ラインを導入し、効率的な生産を目指す。長崎や大分の工場と並ぶ国内のカメラ生産の主要拠点として、19年8月にも操業を始める。

 パイオニアは昨年春までに、日本市場で市販するカーナビのほぼ全てのモデルの製造をタイから青森県十和田市の生産拠点に移管した。

 非製造業にも国内回帰の動きが出ている。100円ショップの「ダイソー」を展開する大創産業(広島県東広島市)は、販売する商品の品質や安全性の向上のため、調達の国産比率を高める考え。広報担当者は「詳しい種類や商品は決まっていないが、順次切り替えを進めている」と語った。