ヤマトの値上げ宣告、悲鳴上げる中小企業 「担当者も出向かず、メール1通で…」 (1/4ページ)

 一方的な値上げ宣告、中小企業が悲鳴

 10月1日、ヤマト運輸は27年ぶりに宅急便の運賃を全面改訂した。それに先立ち、5月には新聞広告を掲出。「現場はかつてない厳しい状況」「日本全体の人手不足によって労働力の確保も困難」「事業税の増税や社会保険適用範囲の拡大など、社会制度にも大きな変更」。そう説明し、宅急便の料金値上げだけではなく、法人との契約も見直すと宣言した。

 一般の消費者からすれば、1個当たり百数十円程度にすぎない値上げ。しかし、数千件、数万件の規模で取引を行う企業には深刻な影響をもたらしている。特にネットで注文を受けて商品を発送するEC(電子商取引)業者のなかには、弊誌に直接、その惨状を訴えてくる企業もあった。

 ヤマトとは10年以上の付き合いがあるという中小企業のA社長。

 「最初は佐川さんにお願いしていた。その前からヤマトに声はかけていたけど、うちの取引量が小さいから相手にもしてもらえなかった」

 あるとき、経済誌に取り上げられ、テレビ取材も舞い込む。メディアからの注目を集めると同時に顧客も急増。すると、ヤマトが営業にやってきた。送料の値上げは厳しいとA氏が断ろうとすると、返ってきたのは「ともかく値段は下げます」との言葉。

 A氏の会社は、商品の特性から梱包が大掛かりになる。ヤマトはそれを格安で受けると申し出た。それ以来、細かい値上げはあったものの、送料は低く抑えられてきた。ところが、この春、一通のメールがA氏に届く。

 「6月から一気に送料を4倍にしますと。担当者が出向くでもなく、メール1通ですよ。本心では私たちとの付き合いをやめるため、無茶を言ってきているのでは、と恐怖を覚えました」

「不手際を棚上げして、正当化している」