【日本発!起業家の挑戦】光と音を発する「LED内蔵ダンスシューズ」の可能性 (2/4ページ)

Orpheを開発した菊川裕也氏
Orpheを開発した菊川裕也氏【拡大】

 --靴を楽器として考えたことはありませんでした

 「考えたことはなくても、靴が床を踏み鳴らす音を実際に音楽として聞いたことはあると思います。タップダンスやフラメンコ、他にも世界中の民俗音楽で靴はよく使われる楽器です」

 --客層を教えてください。誰がOrpheを購入していますか

 「最初にコンセプトに食いついてくれた初期採用者はダンサーやパフォーマーでした。モーションセンサーと通信機能によって、ダンサーがOrpheを履いて踊ると足踏みに反応してOrphe自体が光るのはもちろん、足の動きによってステージの背景のライトを変えたり、音楽を奏でたりできます。靴に内蔵されたLEDは個別制御可能で、スマートフォンのアプリから色やデザインを変更できます。クリエーティブ・パフォーマンスの分野で音と光を使ったまったく新しい表現が可能になると思います」

 --Orphe開発前には違う種類の楽器を市場に提案したとか

 「はい。大学院(首都大東京)の研究室の仲間とPocoPoco(ポコポコ)を作りました。ビートを刻み音を鳴らす、箱型のミュージックシーケンサーのような楽器です。触感フィードバックを使って、押す、回すといったシンプルな動きで音を鳴らしたり、光らせたりできるものです」

 --おもしろそうですね。どのような反応がありましたか

 「プロトタイプを作って、実際に演奏している動画を撮り、学会で発表したりして世界中から良い反応を得られました。しかし、結局商品として実現するのは難しいという結論に至りました。大量生産を頭に入れて作ったものではなかったので、生産コストが高すぎたんです」

 --それに、ユーザーにまったく新しい楽器の演奏を学ばせるのは困難でしょうね。ギターが発明されてから楽器として一般に受け入れられるまでには200年もかかったんですから

 「それは僕たちも大きな挑戦と捉えている問題ですが、一番の解決策は直観的なデザインを用いることです。人はすでに靴の履き方、歩き方、踊り方を知っています。Orpheは人がすでによく理解しているそうした動きに基づく新しい楽器です」

健康改善アプリを狙う