NBAが日本で本格的にマーケティングを開始したのは1988年。伊藤忠商事と、開幕戦の興行を含むNBA全てのビジネスに関する包括的パートナーシップ契約を締結したことに始まる。伊藤忠とのパートナーシップは10年間に及んだ。私も当時、法務面で関わったが、このパートナーシップの開始から約30年がたち、プロスポーツの放送・配信ビジネスの巨大化とライブ映像の送信技術の進歩には驚きを禁じ得ない。
1990年代は、地上波テレビの全盛期であり、BSの幕開け時代でもあった。NBAの試合も、マスター・ビデオを飛行機で取り寄せて放送するのが基本で、生放送する場合のみ衛星中継で電波を受けて放送していた。関係者にとっては胃が痛むような緊張感を持ってテレビ放送にこぎ着けていたのだ。
地上波のテレビ放送に加えBS、ケーブルテレビ(CATV)、さらにはインターネット配信が視聴者を取り合う時代に入り、プロスポーツの「即時性」が視聴者獲得のためのキラーコンテンツとして注目されていることは、先に「OTTとテレビ 視聴者獲得争い本格化」(3月8日付)として紹介したばかりだ。
テレビ放送が不可欠
OTT(オーバーザトップ)とは通信事業者以外のコンテンツサービス企業のことだが、このところ攻勢を強めている。だが、技術革新が進んでいるとはいえ、WOWOWやNHK-BSなどテレビ放送に比べてネット配信は不安定で試合の途中で映像が止まったり、遅延したりすることがある。