【Bizクリニック】逃げない、隠さない、ウソつかない (2/2ページ)

 筆者が広報室長を務めていた企業では、社長が管理部長を通じて短期間に5000万円もの資金を仮払いさせ、解任させられた。上場企業だったのでトップ交代は適時開示しなければならない。困ったのは解任理由だ。経営陣は解任した社長に仮払金の返済を求めているため、この段階で「着服」の認定はなされておらず、特別背任を理由にするとミスリードする可能性がある。結果的に国産の高級中古車を役員会の決議なしに購入したことを理由にし、ウソをつかず、ミスリードもしない対応を選択した。「隠さない、ウソつかない」はミスリードをしないことを前提に、誠実な対応を心掛けることと理解してもらうといいだろう。

 また、クイックレスポンスは締め切りを抱えるメディアへの配慮だ。ニュースリリースをメディアに送付しているのに、問い合わせがあると「いま、社長が不在なのでお答えできない」などと答えを保留する企業は非常に多い。あるいは数字を聞かれて「調べます」と答え、担当者不在で回答が遅くなるケースも少なくない。筆者は企業トップや広報担当者に対して「メディアをお客さまと思って接する」ように伝えている。顧客を待たせて平気でいたら、顧客を失う。掲載される記事も、掲載されなくなる。

【プロフィル】管野吉信

 かんの・よしのぶ 駒大法卒。1981年日刊工業新聞社入社。中小企業部長、金融市況部長、第1産業部長、経産省の中小企業政策審議会臨時委員。2007年ジャパン・デジタル・コンテンツ信託に入社し広報室長。執行役員として粉飾決算などの不祥事の後処理を担当。12年7月広報ブレーンを設立し、現職。58歳。福島県出身。