「グリーンボンド」活用広がる 戸田建設は洋上風力発電を建設

長崎県五島市の沖合で、同市と戸田建設の子会社が共同で運転している洋上風力発電施設(戸田建設提供)
長崎県五島市の沖合で、同市と戸田建設の子会社が共同で運転している洋上風力発電施設(戸田建設提供)【拡大】

 環境問題の解決に役立つ事業に使途を限定して資金調達する債券「グリーンボンド」がじわりと拡大してきた。準大手ゼネコンの戸田建設は1日、新たな洋上風力発電施設の建設資金を賄うために12月に発行予定だと発表。グリーンボンドは米欧などが先行するが、日本でも自治体などの発行例が出てきており、裾野が広がるか注目される。

 グリーンボンドは、2007年に欧州投資銀行が気候変動対策に特化した債券を発行したのが先駆けとされる。日本の主体が発行したものとしては平成26年10月の日本政策投資銀行による「第1回DBJグリーンボンド」が初めてという。

 戸田建設の発行予定のグリーンボンドは、償還までの期間が5年で、規模は100億円。調達資金のすべてを長崎県五島市の沖合に新たに建設する海面に浮くタイプの洋上風力発電施設に充てる。1日の記者会見で山嵜(やまざき)俊博執行役員は「これまで社債市場で戸田建設に興味を持つ人はあまり多くなかったが、(これを機に)新たな投資家も含め幅広い層が購入に名乗りを上げてくれれば」と話す。

 日本でグリーンボンドはこれまで、政投銀のほかにメガバンクなどの発行例があった。最近は東京都が自治体として初めて、10月31日付で「東京グリーンボンド」を機関投資家向けに計100億円発行し、12月には個人投資家向けも発行する計画。また、独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構も月内に200億円を発行する予定だ。