アイカ工業寄附講座、京大で運営開始 地域での高齢者見守り研究

 化成品や建材の製造販売を手掛けるアイカ工業は1日、京都大学経営管理大学院に「ホスピタルマネジメント研究寄附講座」を設け、同日から運営を開始したと発表した。

 超高齢社会の中で、病院中心ではなく、地域全体で「医療・看護・介護ケアミックスモデル」によって高齢者を見守る実証研究を進めるとともに、高度な知識を持つリーダーを育成する。同社は医療・介護の現場の声を、最適な建材開発に役立てる。

 同大学院の岩尾聡士特定教授は、地域全体でケアミックスによって高齢者の見守りを行う「IWAOモデル」を提唱。2009年から、愛知県で医療・看護・介護の同モデル実証研究を進めている。

 アイカ工業は、社会福祉研究や人材育成の面から同モデルの普及を支援している。

 団塊世代が75歳以上となり、後期高齢者が激増する「2025年問題」が迫り、社会保障費の増大から財政を圧迫することが予想されている。

 医療費削減のため、急性期病院の入院日数やベッド数を削減する政府の方針に沿って、多くの病院が動いている。こうした中、都市部を中心に医療介護難民や老々介護、孤独死など多くの社会問題が生じている。