「親と子供以外はすべて変えろ」で成長したサムスン今がピーク? 業績絶好調も悲壮感あふれるワケ (3/3ページ)

朴槿恵前大統領への贈賄罪で公判中のサムスン電子の李在鎔副会長(AP)
朴槿恵前大統領への贈賄罪で公判中のサムスン電子の李在鎔副会長(AP)【拡大】

  • 韓国ソウルで開かれた韓国エレクトロニクス・グランド・フェアでサムスン電子のスマホ「ギャラクシーノート8」を体験する来場者(AP)
  • 辞意を表明したサムスン電子の権五鉉副会長(AP)
  • 巨大スクリーンに映し出された韓国サムスン電子のスマートフォン(AP=共同)
  • サムスン電子の業績は絶好調だが…(ロイター)

 好調な業績からは、うかがえないが、やはりトップの不在が先行きに影を落としているようだ。

 聯合ニュースは「トップの空白が8カ月続き、大規模な新規投資やM&A(企業の合併・買収)などをスピーディーに決定できない状況に置かれている」と指摘した。

 権氏の辞任は、過去最高益を更新する中で、組織を引き締め、経営陣の若返りを図る狙いがあるとみられているが、経営空白の危機に拍車をかけかねない。

 韓国経済はサムスンへの依存度が高く、「第2のフランクフルト宣言」を出せる経営態勢を構築できるかが、同国経済を大きく左右することになりそうだ。(本田誠)

■サムスングループ 1938年に故李秉詰(イ・ビョンチョル)氏が創業した三星商会を原点とする韓国最大の企業グループで、李氏の三男、李健煕(イ・ゴンヒ)氏がグループの規模や事業を拡大。グループ全体の売上高は韓国の国内総生産(GDP)の約2割を占め、プロ野球の球団も経営する。中核のサムスン電子は69年設立の総合電機・電子部品メーカー。2016年には、韓国や米国などで売り出したスマホ「ギャラクシーノート7」の発火トラブルが続出し、生産・販売を停止したほか、米国で販売した洗濯機が異常な振動を起こして上部のふたが外れる恐れがあるとして、リコール(回収・無償修理)に追い込まれた。