日本の「失われた20年」問題 銀行が取れないリスクを取る「直接金融」が解決策となるか (1/3ページ)

 銀行は融資の際に担保をとる。裏を返せば、担保がなければ融資はできない。この問題を解消しようと、クラウドリアルティ(東京都千代田区)は不動産証券化とクラウドファンディングを組み合わせて、ユニークな事業の資金調達を支援している。すでに待機児童解消を目指した保育施設や、京町家の再生ビジネスなどの資金を集めた。同社の鬼頭武嗣社長に起業の狙いを聞いた--。

※写真はイメージです(Getty Images)

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 地域社会の問題解決をビジネスにする

 --どのような事業を手がけているのですか。

 クラウドファンディングの仕組みを通じて、建築・不動産についての資金需要と、個人を中心とした投資家の投資需要を直接結び付け、それぞれに資金調達と優良な不動産投資の機会を提供することを目的にしています。社名は群衆を意味する「Crowd」と不動産を意味する「Realty」を結び付け、相互に資金を循環させながら、双方の成長を図っていきたいという思いを込めています。

 私が建築、不動産に関わり始めた2000年代以降、日本では人口減少、都市の縮退局面に差し掛かっていました。不動産投資だけでなく建築や都市の在り方としても変曲点を迎え、遊休不動産の再生やリノベーションを通した地域再生など、既存の枠組みに収まらない新しい価値創造と資金需要が生まれています。一方、資本市場を介してリスクマネーを調達できている建築・不動産は、2000兆円超とも言われる日本の不動産ストックの総量と比べると、まだまだごく一部です。また、上場REITの投資主構成を見ても日本の個人投資家は全体の2割に満たない水準で、個人の資本参加も十分に進んでいません。

 --京都では「町家再生ビジネス」を手がけました。

 京都市東山区の五条坂下地区にある町家を、高級宿泊施設に改装します。資金は個人から少額の出資をインターネットで募りました。7200万円の出資を募ったところ、約3週間で111人の投資家から申し込みがあり、満額に達しました。日本で初めて現物不動産の証券化をオンラインで完結させた事例で、新しいリスクマネーの調達手段として地方創生にも貢献できると考えています。

 また、内閣府主導で新しく始まった企業主導型保育事業の制度を活用し、東京・渋谷区上原の待機児童の解消を目的に、シェアハウスと保育所を融合した施設の用地取得のファンドを8月17日に募集開始。約10日間で1.7億円超を調達しました。これも地域社会の問題解決を目的にしています。

銀行が取れないリスクを取る