日本企業が苦戦する“売り方” 「安いレクサス」を誰も欲しがらない理由 (1/5ページ)

 かつて多くの日本企業は「よい品を、より安く」というアプローチで成功してきた。だが「ラグジュアリー・ブランド」の台頭で、苦戦する場面が増えている。「高くても、いいものがほしい」という顧客には、まったく違う売り方が必要になる。神戸大学経営大学院の栗木契教授が、3つのグローバル企業の事例を検証する--。

 コスト・パフォーマンス追求の限界

 「よい品を、より安く」

 この短いフレーズに表明されているのは、「同一性能なら競合製品より価格を下げる」「同一価格なら競合製品よりも性能を高める」というアプローチである。その前提には、コスト・パフォーマンスで顧客価値を判定するマーケティング発想があり、その実現には、事業の効率化や、生産性の向上が必要となる。これは20世紀の後半に、多くの日本企業が世界に名をはせるうえで得意としてきたアプローチでもある。

 今の日本企業にとってはどうか。

 わが国の代表的な経営学者である加護野忠男氏は、この「効率追求型」のアプローチからの脱却の必要性を説く(『一橋ビジネスレビュー』2014, Spring)。日本企業のビジネスの前提は、かつてとは大きく変わっている。コスト・パフォーマンスのよさを顧客に訴求するマーケティングに固執しても、国内外で事業を健全に発展させる余地は限られる。

 そのなかにあっては、逆に、「高く売ることを考えるべきだ」というのが、加護野氏の見立てである。

 高く売るための3つのアプローチ

 あるべきマーケティングの姿は、時代の文脈によって動く。加護野氏が説くように、今の日本企業のマーケティングは、安くではなく、高く売ることを考えることが重要となってきている。

価格の高さを正当化するノウハウ