【モノづくり激震 不正の構図(中)】 日産、スバル無資格検査 問われる「現場の強さ」 傷ついたブランド 販売へも余波 (1/3ページ)

東京モーターショーに出展した日産自動車とスバルのブース。無資格検査問題は大規模リコールや出荷停止など、多方面に大きな影響を与えた=10月27日、東京都江東区
東京モーターショーに出展した日産自動車とスバルのブース。無資格検査問題は大規模リコールや出荷停止など、多方面に大きな影響を与えた=10月27日、東京都江東区【拡大】

 10月20日朝、東日本にある日産自動車の販売店で、10人の営業担当者が慌ただしく顧客への電話対応に追われていた。

 「この度は、大変ご迷惑をかけております…」

 国内販売向け全車両の生産と出荷の停止という衝撃的な知らせがもたらされたのは前夜。9月に発覚した無資格検査問題の余波が販売現場にまで及んだ形だ。

 この販売店は問い合わせを受けてからの対応では不十分と判断し、先に購入者に連絡を入れ、説明し、謝ることを決めた。担当者1人の受け持ちは400~500人にのぼった。

 店で新車を買う人の約8割は日産に乗り続ける“リピーター”。出荷停止が日産の信頼に傷をつけることになれば、販売店として長期的な顧客基盤を失いかねない。「大変なことになった」。だれもが事態の深刻さを理解していた。

 この販売店は交通量の多い道路に面した好立地。小型車「ノート」やミニバン「セレナ」など人気車を展示し、9月まで好調なセールスが続いていた。日産全体でみても状況は同じ。エンジンで発電し、モーターを動かして走る「e-パワー」や、車庫入れ・縦列駐車を補助する機能などへの評判も上々だ。

 それだけに出荷停止のショックは大きい。10月の登録車の販売台数は前年同月比で52.8%減という壊滅的な状態。納車遅れによるキャンセルも「数百台の単位」(星野朝子専務執行役員)で発生したという。

 一方、この販売店では問題に関連したキャンセルは1件もなく、出荷が停止している間の受注減も、1割程度に抑えることができた。電話だけでなく、成約後に出荷停止となり、納車が遅れる顧客の自宅を訪れて頭を下げるなど、懸命の努力の結果だ。