神鋼不正、裏目に出た独立性 「誤った自信」常態化でガバナンス機能せず (2/4ページ)

経済産業省の多田明弘製造産業局長(右)に報告書を手渡す神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長=10日、経産省
経済産業省の多田明弘製造産業局長(右)に報告書を手渡す神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長=10日、経産省【拡大】

  • 性能データ改竄があった神戸製鋼所大安工場=三重県いなべ市

 トクサイで思い出されるのが、昨年発覚したグループ会社の神鋼鋼線ステンレス(大阪府泉佐野市)による日本工業規格(JIS)法違反だ。同社は自動販売機などのばねに使う鋼線の強度試験の値を改竄していた。

 「トクサイだな」

 検査装置のデータに目を通した品質管理室長は、そう言って部下に改竄を指示していた。室長は、製造部門の技術担当課長を兼ねていた。製造でも責任の一端を担っていることが、改竄につながった。

 「過去から引き継いだことをただ漫然と続けていたようだ」。神鋼鋼線ステンレスの幹部はそう話すが、それは今回の不正にも当てはまる。長年の不正が慣行となるうち、最も大切なモラルが失われてしまっていた。

 各部門高い独立性

 神戸製鋼は、複合経営と呼ぶ独自の多角化を早くから進め、鉄鋼や建設機械、アルミ・銅など多くの部門を傘下に抱える。各部門の独立性は高い。現場の社員が部門を越えて異動することはまずなく、多くが入社時に配属された工場でそのまま会社人生を終える。このことは、職人を育み、技術を伝承する上では役立ってきた。

 もっとも、今回はそれが裏目に出た。改竄しても長年の経験で安全と分かっているから大丈夫-。そんな現場の「誤った自信」(幹部)が不正につながった。

 ある競合他社の幹部は、今回の不正を耳にしたとき意外な感じがしたという。昨年のJIS法違反があったとはいえ、社員の印象は「公務員気質でとてもまじめ」。ここまで広く行われているとは信じられなかった。しかし、そうした社風もマイナスに働いた可能性がある。

会社に貢献したい気持ち、誤った方向に