「ブラザー×コメダ」異色の社長対談・前編 名古屋企業が東京移転を検討もしない理由 (1/6ページ)

ブラザー工業の小池利和社長(左)とコメダ珈琲店の臼井興胤社長(右)
ブラザー工業の小池利和社長(左)とコメダ珈琲店の臼井興胤社長(右)【拡大】

 異色の「社長対談」が実現した。ともに愛知県名古屋市に本社を置くプリンター大手のブラザー工業と、喫茶店舗数で国内3位のコメダ珈琲店(コメダ)だ。事業内容も売り上げ規模もまったく違うが、名古屋企業らしい手堅い経営など、共通項もある。来年で創業110年のブラザーを率いる小池利和社長と、同50年のコメダを率いる臼井興胤社長が、ビジネスから生き様まで語り合った--。(前編、全2回)

 喫茶業としては「スタバ」に勝ちたい

 【小池】今日はご足労いただき、ありがとうございます。コメダの社長を前にして申し訳ないのですが、私は外であまりコーヒーを飲まないのです。23年半過ごした米国でもオフィスのコーヒーが中心で、スターバックスやマクドナルドに行く程度でした。米国はデカフェ(カフェイン抜きコーヒー)が多いけど、まだ日本は少ない。でもこの間、2度ほどコメダ珈琲店に行きました。ソファも座り心地がよく、新聞・雑誌も読み放題なのはいいですね。

 【臼井】ありがとうございます。私はコメダの社長になって4年たちますが、創業者の加藤太郎さん(元社長・会長)が作り上げたビジネスモデルは本当に卓越したものだと思います。一言でいうと「居心地のよさ」を核にした商売です。加藤さんは「コメダは喫茶業だけど、本質は空間を売る“貸席業”」と言われました。たとえば郊外型の路面店では、大きな駐車場、ログハウス風の建物、木目を多くした内装、朝の時間帯は無料でつくモーニングサービスなど、全世代を対象にした店づくりをしています。社長として、そのバランスを崩さないのが使命だと思っています。

 【小池】では、将来的にはスタバに対抗するとか。

 【臼井】喫茶業としてはそうです。ただ、この顧客相手のビジネスはコーヒー店だけでなく、いろんな業態に挑戦できると思っています。まだ明確な具体像があるわけではありませんが、ブラザーが110年近い歴史の中で、業態を変えて事業拡大されたように、時代とともに進化や変身をしないと生き残れない。私はコメダが将来「もともと喫茶店だったのか」と思われる時代が来るかもしれないと思います。もちろん、スターバックスに負けたくない気持ちはあり、飲食や接客レベルをより高めて、日本の喫茶店のよさを訴求していきます。

名古屋はインフラが整うから「保守的」になる