日産自動車の無資格検査問題をめぐる記者会見の開始から約2時間。西川広人社長、山内康裕CCOと報道陣の質疑応答は続く。検査要員の不足をめぐり、経営効率化を推し進めたカルロス・ゴーン会長の責任に関する質問も出始めた。
--製造工程のさまざまなタイミングで検査が行われており、「完成検査の形骸化」も指摘される。自動化はできないのか
西川氏「確かに、工程の中でさまざまな検査を行っており、将来のテーマとして『完成検査の自動化』はあり得る。ただ、今必要なことは『守るべきルールを守っていなかった』という原点に立ち返ること。その上で、将来的に自動化を視野に入れることはあり得る」
--ゴーン会長は長年トップだったのに、なぜ会見に出席しないのか
西川氏「執行責任は私にあり、今回の事態の収拾は私が行う。それに尽きる」
--(経営管理を数値目標で行う)「ゴーン流」が要因だったのでは
西川氏「当社は国内生産がずっと右肩下がりだったところ、近年になって景気が回復し、生産台数が増えた。その一方で、団塊世代が退職して働き手が減った。こうした事情はどこの自動車メーカー、どこの現場も同じだ。完成検査員の人数が不足していたのは事実だが、(無資格検査は)長きにわたる習慣だったわけで、(人手不足が)直接の原因ではない」
--長年の習慣と近年の人手不足はどう関係しているのか
西川氏「本来やるべきこと(有資格者による完成検査)をできていなかった、それが現場に根付いていなかった、そうした中で生産を増やせば、こうしたことが起きる。『新たな問題』というよりは、『抱えていた問題が顕在化した』と捉えている」