商工中金の「解体的出直し」に向けた議論が始まった。17日に開かれた有識者会議では、(1)商工中金のビジネスモデルのあり方(2)危機対応業務の見直し(3)ガバナンス(企業統治)改革-を中心に論点整理が行われた。委員からは「資産や組織の規模縮小は当然だ」などと厳しい意見が相次いだ。営業現場でかち合うことが多い地方銀行の関係者は議論の行方に厳しい視線を向ける。
日銀のマイナス金利政策の下、地方では、熾烈(しれつ)な貸し出し競争が行われている。ここに水を差したのが商工中金の不正融資問題だ。全国地方銀行協会によると、政府系金融機関は国の制度を悪用し、最低で地銀の約3分の1の低金利を提示していた。
「本来の役割である民業補完を徹底してほしい」(地銀協の佐久間英利会長)、「政策意図を超えて数字を作ってまで融資するのは政策金融機関の本来の姿ではない」(コンコルディア・フィナンシャルグループの寺沢辰麿社長)。地銀トップからは抗議の声が上がる。
初会合では今後の商工中金の役割について、経営の厳しい中小企業向け融資や事業再生など民間金融機関が手薄になりがちな分野に業務を絞る案などが出た。
金融庁の遠藤俊英監督局長は「商工中金が地域の中小企業をサポートし、地域経済を活性化させるような存在になるのであれば、地銀にとっても非常に有益だ」と語った。