初の国産量子コンピューター、一般公開へ

NTTなどが開発した量子コンピューター「QNN」と開発に携わったNTT物性科学基礎研究所の武居弘樹上席特別研究員=20日、神奈川県厚木市(西岡瑞穂撮影)
NTTなどが開発した量子コンピューター「QNN」と開発に携わったNTT物性科学基礎研究所の武居弘樹上席特別研究員=20日、神奈川県厚木市(西岡瑞穂撮影)【拡大】

  • NTT物性科学基礎研究所などが開発した新型量子コンピューター=20日午後、神奈川県厚木市

 NTTなどは20日、スーパーコンピューターを超える膨大な量の計算を瞬時にこなす量子コンピューター「QNN」を開発し、27日から試作機を無償で一般公開すると発表した。国産の量子コンピューターが公開されるのは初めて。

 QNNは、光ファイバーの中を光パルスが回り、「組み合わせ最適化問題」と呼ばれる複雑な問いの解を一瞬で導くことができる。理化学研究所のスーパーコンピューター「Shoubu(菖蒲)」と比べ、100倍の速度で計算できる能力があるという。

 開発は内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環で、NTTや国立情報学研究所などが参加。今後、AI(人工知能)への応用や交通渋滞の解消などに役立てられると期待されている。

 競合するカナダの量子コンピューターは超伝導を利用するため低温環境に置く必要があるが、QNNは常温での使用が可能。さらに、解ける問題の規模も30倍以上優れているという。

 NTT物性科学基礎研究所の武居(たけすえ)弘樹上席特別研究員は、「いろいろなものの最適解を見つけ、さまざまな無駄が削減できる」と自信をみせた。